TwilightSmile

 ~ 定年 another story ~

出発の風景(創作詩的文章)



ある日僕は僕が僕で無くなったことを知り
僕が思い出の中に生きていることを知り
僕の太陽が傾いていることを知り

気がつけば僕は海の見える果てに佇み
暗黒が迫っていることを知り
自分が終わりつつあることを知る

伝う涙を拭っても拭っても
涙は溢れて止まらない
もう終わりなのか俺


小舟を一艘海に浮かべて
大海原にひとり旅立とうとするも
行き先が分からぬまま波に流されて

終わり往く風景の中浮かんでいると
風が海を渡り異国の地へと誘って
その方角に目をやると連なる大地

見知らぬ土地のはずなのに
行ったこともないはずなのに
なんて懐かしい風景なんだろう


空と海と風よ
思い出したよ

落ちる太陽に涙するのではなく
自ら光る努力をすべきだということを


空と海と風よ
思い出したよ

これから私は再生する

もう一度自ら光るんだ


(辿り着いた風景(改))

・・


序章~出発の日々~