TwilightSmile

 ~ 定年 another story ~

遺された妻はそこから30年間どうやって生活していくのか。

前回(こちら「私亡き後妻が30年生きる問題」)の続きです。

私が5年後にこの世を去った後の妻を切なく思い、おセンチになって寂しく憂うような非建設的な話はさておいて、この世に残った妻のために何よりも真っ先に考えておかなければならないことがある。それは「遺された妻はそこから30年間どうやって生活していくのか。」という経済的な問題である。その先30年妻が経済的に困窮して不自由な生活を過ごすことになって路頭に迷ってしまったら、それこそ不憫で不憫で、不憫でならない。妻が安心して余生を送ってもらえるよう、私はしっかりと考えておかなければならない。でなければ安穏として末期を迎えられない。

・・

5年後私は68歳で死亡。妻は60歳。
今のところ健康な妻は65歳までは元気に今のパートを続けられるだろう。
その間はパート収入と私の遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(585,700円)もあって、まあ困ることなく生活を送れるだろう。(まあ、ここまではいいだろう)

しかし、その先は?
その先はいつか妻もリタイアして年金だけの生活が待っている。仮に妻が65歳でリタイアしたとしたら90歳まで生きると25年間。年金だけでは生活が厳しくなるのは現在の年金制度からして明白だ。
妻の年金収入は本人の老齢基礎年金と私の遺族厚生年金(私の厚生年金の報酬比例部分の3/4)である。それで足りるのか。否。足りることはないだろう。ではいったいいくら預貯金があったら妻の生活は改善され不自由なく寿命を全うできるのか。

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その検証をするために、令和2年度版の高齢社会白書(こちら)の高齢化の推移と将来推計の図表に妻の90歳までの年齢を書きこんでみた。すると、ふたつの大きなポイントが浮かび上がってきた。

高齢化率と将来推計

1)一つは右上の赤☆の部分。
 妻が80歳を超える頃(2050年~2060年)、日本の人口は1億人を切っている。
2)もう一つは左下の緑☆の部分。
 妻が75歳以降90歳までの間(2045年~2060年)、65歳以上の人たちを支える現役世代の人(15歳~64歳)たちの割合が1.4人になってしまっている。

つまり妻が75歳から80歳になる頃、日本の総人口は1億人を切り、現役世代(15歳から64歳)は1.4人で1人の高齢者を支えている、言い換えれば1人の高齢者は1.4人の現役世代に支えられている、そんな時代に妻はひとり老いてゆくのである。
(ちなみに2020年(一昨年)を見ると総人口は12532万人で、65歳以上を人たちを支える現役世代の人たちの割合が2人である。)

ということは。
このまま、今のままの年金制度を続けられるはずはなく、確実に段階的に年金支給の年代は繰り下がっていくだろうし、年金支給額も今の7掛けくらいになるのではないのか。(今二人で一人を支えているのが、1.4人で一人となるのだから、=7掛け←根拠のないざっくりとした数字ですけど)

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では、次。支出はどう見通しておこう。高齢の独居老人の女性の生活費はいかほどなんだろうか。私の妻はたいへん倹約家なので、標準で見積もっておけばおつりが出るだろうと踏む。ということでこちらの資料を参考にしよう。平均的な家計計算を見込んでおけばなんとかなるんじゃないか?

総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)家計の概要(こちら)によれば、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出(こちら)は133,146円、非消費支出(こちら )は11,541円である。支出計は144,687円である。

出典:家計調査年報(家計収支編)2020年P18(こちら

ということは。
妻の65歳からの必要なお金はざっくり14.5万円/月(消費支出+非消費支出)くらいだろうか。ま、余裕みて15万/月とする。(たいした余裕じゃないけど汗)

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1/21に厚生労働省からPress Releaseが出された(⇒のPDF:出典は厚生労働省(こちら))。今年2022年度の年金受給額は前年に対し04%値下げになるとのこと。つまりは今年を100としてここから毎年0.4%づつ年金額が下がるとしたら、今から35年後はいくら下がっているのか、を求めたい。
まあ単純に前年の結果にー0.4%づつかけていけばいいだけなのだけどね、で、EXCELでちゃちゃっと計算しまして、答えは・・86.9%となりました。

年金掛け率(

えーと、ま、私が死んでから30年、というより、いや妻が65歳でリタイアしてから90歳までの25年間の収入の部は、年金額の今の水準に86.9%掛けたぐらいを通期で見積もっておけば、まず少なすぎることも多すぎることもないだろう、ということとしておこう。(←乱暴だけど)

・・・

では以上の論点を整理して私亡き後の妻の家計を見ておこう。
前提条件は、
(1)妻が必要とする生活資金を15万円/月とする。
(2)年金は170万円/年(遺族年金+基礎年金)とする。
(3)年金は税金や社会保険料を差し引き(ざっくり10%)手取りをだす。
で、計算をしてみる。

■Aパターン■
ざっくり妻の年金収入が170万(遺族年金+基礎年金)とした場合。
税金や社会保険料を差し引いて(ざっくり10%)手取りは、153万円(月12.75万円)。
必要額15万円-12.75万円⇒月2.25万円のマイナス。年で27万円マイナス。
27万円×25年=675万円不足する計算。
⇒預貯金1000万円あれば、これならなんとかやっていけそう。

■Bパターン■
仮に。
今年(2022年)年金が0.4%引き下げられたので、これを元にして計算してみる。
Excelでちょこちょこっと掛け率を計算してみると妻90歳の時で今の86.9%となる。
まあ、ざっくり85%としてみると。
(面倒なので一気に85%掛けで初年度から計算すると)
170万/年×0.85=144.5万/年 144.5万×0.9=130.05万÷12=10.8375万円/月
必要額15万円-10.8375万円⇒月4.1625万円のマイナス。年で49.95万円のマイナス。
49.95万円×25年=1248.75万円必要。
⇒預貯金1500万円あれば、ぜんぜんやっていけるね、たぶん。

■Cパターン■
仮に仮に。
将来年金額が今の7掛けぐらいになることを前提に計算する場合。
(これも面倒なので一気に7掛けで初年度から計算すると)
170万/年×0.7=119万/年 119万×0.9=107.1万÷12=8.925万円/月
必要額15万円-8.925万円⇒月6.075万円のマイナス。年で72.9万円のマイナス。
72.9万円×25年=1822.5万円必要。
⇒預貯金2000万円あれば、まあなんとかやっていけるか。


・・

以上の結果から「私亡き後妻が30年生きる経済的問題」の解決策が導き出された。

①妻が65歳まで今の仕事を続ける。
 遺族厚生年金と中高齢寡婦加算もあって、まあやっていける。

②妻が65歳でリタイアした後、年金と2000万円の預貯金で暮らす。

ということで、私が妻に2000万円遺せば何の憂いもないとのこと。
我が家の2000万円問題は解決。

よかったよかった。(のか大汗(・_・;))

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