TwilightSmile

 ~ 定年 another story ~

妻の父の死

妻の父が亡くなりました。享年87歳。今年2月に体力の衰えから玄関先で転び入院、7月頃リハビリ病院を経て施設入所、11月上旬に高熱を出し緊急入院、その後回復しないまま11月20日に息を引き取りました。最終的な死因は肺炎となっていました。

最後は点滴も打てぬほどにやせ細り飲まず食わずの状態で死を待つこととなり、亡くなる3日前に見舞に行った時は、言葉は悪いですがまるでミイラのような様態で横たわっていました。飲まず食わずで干からびてゆく様は可哀そうでしかありませんでした。意識はあって話しかけると頷いていました。ラインで私の娘(義父からみて孫)とTV通話した際はうっすら涙を浮かべていたように見受けられました。

点滴なし飲まず食わずで10日ほど生きて亡くなりました。最後の驚異的な生命力に医者も驚いていたようです。亡くなる日の朝、いよいよだという連絡が入り、妻はパートを休み駆け付けましたがほんの少し間に合わず臨終には立ち会えなかったそうです。でも肌は温かかったよと言っていました。

義父は中学を卒業後、東京の時計屋さんに単身奉公に出て時計の修理の修業をしたそうです。見知らぬ土地でひもじくつらい日々の中、いただいたお小遣いを貯めてコロッケを買い食いするのが唯一の楽しみだったと聞きました。その後故郷に帰り時計屋を継ぎ現在に至ります。そう、私の妻は時計屋の娘でした。その時計屋も後継ぎがいないため義父の逝去により閉店となるようです。駅前の時計屋さん。義父の死は街の顔がなくなる意味もあるのです。

お義父さん。どうぞ安らかにお眠りください。心よりご冥福をお祈り申し上げます。