やがてバブルがはじけ、景気が急速にしぼんでゆく中、輸入業界は為替の影響で差損が生じるようになりました。
簡単に言うと100円で仕入れて120円で売っていた商品があったとして、為替の変動で同じものが120円で仕入れることとなった場合、売価を簡単に上げられますでしょうか？否ですよね。
バブル景気が収束し、手頃な直輸入品が手頃でない価格になって、中小企業が新しく立ち上げた輸入事業は当然に採算悪化になり、結果撤退することとなったのです。
私の力ではどうにもならなかった。個人の力ではどうしようもなかった。
心血を注ぎ広げた販路。
一から作った売り場。
自らが雇い入れた販売員。
自分で広げた風呂敷を自分で手仕舞う切なさ苦しさ寂しさ、私とかかわってくださった方々への申し訳なさ、は、今思い起こしても、何とも言えない、言葉に詰まる記憶です。
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すべてを清算したのち、私は出向を解かれ、元の繊維会社に戻りました。
戻った世界は、
また不況のどん底でした。
