TwilightSmile

 ~ 定年 another story ~

友の死

今年も押し詰まってまいりました。
傾く西日の中で、また1年終えようとしています。
止まることを許されない人間は確実に死へとまた駒を進めるわけだ。

老いは着実に進行している。
私の太陽はあと何年輝いていられるのだろう。
来年限り?それとも数年?それとも十数年?

・・

年の暮れ、一通の喪中はがきが届いた。
見知らぬ女性名。
誰かなと首をかしげながら文面を見ると・・

「〇〇は闘病の末11月に永眠しました
 皆様の賀状は毎年楽しみにしておりました
 これまでありがとうございました」

ええっ!?
あの〇〇が死んだ!?
えええええっ・・!?

はがきはたぶん〇〇のお姉さんか妹さんから。
〇〇は結婚していなかったから。
それにしても、死んだって!?

・・

〇〇は私の高校時代一緒につるんでいた友。
年賀状に、今度飲もう、と何年も十何年も(いやそれ以上長くかもしれぬ)書いて、しかしそれは実行されることもなく、ただ賀状だけのつながりを持ってきた。

思い浮かぶのは私の結婚式に出席してくれた時の〇〇の顔。
年老いてどんな顔になっていたのだろう。
こんなことになるんなら、もっと早くに酒を飲む機会を作っておくんだった。

ほんとうは3年前同窓会があって〇〇と顔を合わせるはずだった。
それがコロナで延期となり、何度か延期になり、今は計画すらなくなってしまった。
元気にしていると思っていたら、闘病の末!?・・死んだと!?

・・

人はモータルな存在だ。インモータルじゃない。
いつ死ぬかは誰にもわからない。
わからないがいつか死ぬ。
私も妻も見知らぬあなたもあの人も。

傾く西日の中で私は考える。
命あるうちに大切な人と会っておこう。

そんな年末を過ごしています。
みなさま、良いお年をお迎えください。

 

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